みしま小児科クリニック青葉台の三島です。本日は最近話題の百日咳について解説します。まずは感染と予防のポイントからです。
★百日咳って何?
百日咳(pertussis)は、**Bordetella pertussis(百日咳菌)**という細菌が引き起こす呼吸器感染症です。特徴的なのは、長く続く「けいれん様咳嗽」。
「コンコン…ケホッ、ケホッ、ケホッ」
咳があまりに激しく続くと、息ができず顔が赤くなることも。特にワクチン未接種のうちに感染してしまった乳幼児では無呼吸発作や嘔吐を伴い、重症化すれば入院治療が必要になることもあります。
一度発症すると咳は1か月以上続くことが珍しくなく、通常処方される咳止め薬ではほとんど効果が期待できません。だからこそ、早期発見と予防が大切なんです!
★主な症状の経過
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潜伏期(1~2週間)
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ほとんど無症状か、軽い風邪のような鼻水・くしゃみ程度
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カタル期(初期1~2週間)
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鼻水、くしゃみ、微熱、軽い咳
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普通のかぜと区別しづらい時期
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痙咳期(中期2~6週間)
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「ひきつけるような」連続咳発作
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「ワッ!」「ヒュー!」といった吸気性笛音(whoop)
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咳で嘔吐したり、無呼吸発作を起こすことも
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ワクチン未接種の乳幼児は特に重症化リスクが高く、命に関わることもあります
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回復期(後期2~3週間)
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咳は徐々に減り、通常の風邪症状に戻る
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★感染経路と予防
👀 感染しやすいのは、まだ症状が軽いカタル期。この時期は咳が目立たないため「風邪かな?」で済ませてしまいがちですが、すでに強い感染力があります。
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飛沫感染:咳やくしゃみの飛沫を吸い込む
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接触感染:手指やおもちゃを介して口に菌が入る
ポイント:
潜伏期間は7~21日と長く、気づかないうちに周囲へ広がりやすい
咳が激しくなる痙咳期にはすでに感染力が低下しているので、軽い症状のうちから対策を!
日常の感染対策
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咳エチケット(マスク、ハンカチ)
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こまめな手洗い・アルコール消毒
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室内の十分な換気
★ワクチンでしっかり予防
1. 定期予防接種
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乳幼児期(生後3・4・5~6ヶ月、1歳6ヶ月):計4回
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このシリーズで4~5歳までの感染リスクを大きく下げます
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ただし、4回目まででも小学校入学前後には効果が弱まり始めます
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学童期(5~6歳):三種混合ワクチン(百日咳成分含む)追加接種
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任意接種のため、当院では1回約5,000円の自費負担となります
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思春期(11~12歳):Tdapブースター
2. 妊産婦ワクチン
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妊娠28~32週でのTdap接種を推奨
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出生前から赤ちゃんを守り、家族内感染を予防します
まとめ
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百日咳は長く続く激しい咳がポイント。咳止め薬ではほとんど抑えられません。
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感染力が高いのは軽い風邪症状のカタル期。早めのマスク・手洗い・換気を!早期の抗生剤治療による症状の改善を早めたり重症化を防ぐことができます。
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家庭内感染を防ぐことは難しく、予防にはワクチン接種が最も効果的。乳幼児期・学童期・思春期、そして妊産婦さんも忘れずに。
何か気になる咳が続くときは、早めにご相談くださいね🏥✨
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