こんにちは。
みしま小児科クリニックの小林孝輔です。
今回は “アトピー性皮膚炎”についてです。
★アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下し、かゆみを伴う湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す病気のことです。慢性的なかゆみや炎症を伴う皮膚疾患で、遺伝的要因や環境要因が関与しています。
慢性的な経過を伴う必要がありますが、ご家族や兄弟に明確なアトピー性皮膚炎がある場合や、湿疹の性状からアトピー性皮膚炎を強く疑う場合には、乳児期早期からアトピー性皮膚炎と診断し、治療介入を行うこともあります。
- アトピー性皮膚炎を予防するには?
環境の整備やアレルゲンの除去、適切な食事管理などである程度の予防をすることはできますが、遺伝的な要素も大きく、上記の対策を行ってもアトピー性皮膚炎の発症を完全に予防することは難しいです。
アトピー性皮膚炎の場合には、発症予防を意識することよりも、湿疹が悪くならないように予防していくことが重要になります。
★アトピー性皮膚炎の治療法とケア方法
- 薬物療法
アトピー性皮膚炎は慢性的な疾患であるため、適切な薬物療法を行うことが重要です。ステロイド外用薬や保湿剤を処方することが一般的です。ステロイド外用薬には強さ(ランク)があり、湿疹の部位や性状に合わせて適切な強さのステロイド外用薬を使用する必要があります。
近年では、「モイゼルト軟膏®」「コレクチム軟膏®」と呼ばれる非ステロイド性の新たなアトピー性皮膚炎に対する外用薬が使えるようになり、治療の選択の幅も広がっています。
また、重症のアトピー性皮膚炎で、適切な外用薬などを使用しても湿疹の改善が乏しい場合には、生物学的製剤などを使用する場合があります。生物学的製剤を使用する場合には、当院だけでは対応が難しい場合もあり、その場合には近隣の医療機関へご紹介させていただくこともあります。
- 保湿とスキンケア
乳児湿疹と同様に、保湿が非常に重要です。保湿剤を定期的に使用し、皮膚の乾燥を防ぎます。また、適切なスキンケアを行い、皮膚のバリア機能を維持します。 - アレルゲンの除去
アトピー性皮膚炎の原因となるアレルゲンを特定し、除去することが重要です。食物アレルギーが関与している場合は、食事管理について指導する場合もあります。 - ストレス管理
ストレスがアトピー性皮膚炎の症状を悪化させることがあるため、ストレスを軽減する方法を見つけることが大切です。リラクゼーション法や適度な運動などが効果的です。
★ステロイド外用薬の正しい使い方 ~かゆみ・湿疹と上手に付き合うために~
アトピー性皮膚炎の治療に欠かせないのが、ステロイド外用薬などの外用薬
でも「強い薬だから、少しだけでいいのかな?」「塗りすぎはよくないのでは?」と不安に思われる方もいらっしゃいますよね。
実は、正しい量を、しっかりと塗ることがとても大切なんです!
✅ 1. ステロイドの塗り方の基本
- こすらず、やさしくのばす
指の腹でやさしく、湿疹の部分に薬をのばします。ゴシゴシこすらず、スーッとなじませるイメージで!薬をぬったところが、テカテカして、ティッシュが張り付くぐらいの湿り気があるのが理想的です。 - 湿疹があるところ全体に塗る
湿疹のある部分を広く見て、そのエリア全体に均一に塗るようにしましょう。
✅ 2. 適切な塗布量「FTU」を目安にしよう!
**FTU(フィンガーチップユニット)**とは、
「大人の人差し指の先端から第一関節まで出した軟膏の量(約0.5g)」のことです。
この1FTUで、大人の手のひら2枚分の面積に塗れる量が目安です。
例:
- 顔や首 → 約1 FTU
- 背中 → 約3 FTU
- 両脚 → 約6 FTU
※赤ちゃんの場合は、大人より面積が小さいので「少し少なめでOK」ですが、
「ちょっと多いかな?」くらいがちょうどよいことも多いです。
✅ 3. よくあるご質問
Q:長く塗り続けても大丈夫?
A:医師の指示に従って使用すれば、安全に使える薬です!むしろ、途中でやめてしまうと湿疹がぶり返してしまうことがあるので、しっかり塗る期間を守ることが大切です。アトピー性皮膚炎の場合は、湿疹がよくなっていきなり外用薬をやめずに、2日に1回、3日に1回と徐々に外用薬の頻度を下げていく「プロアクティブ療法」という塗り方も、湿疹のぶり返しを抑えるためによく使われます。
Q:保湿剤とステロイドは、どっちを先に塗るの?
A:基本的には、ステロイドは“湿疹があるところ”に、保湿剤は“全体”にという考え方です。
順番はそれほど厳密ではありませんが、「ステロイドを塗った部分に保湿剤を重ねすぎない」ように気をつけましょう。
★生物学的製剤について
アトピー性皮膚炎の治療薬として近年注目されている生物学的製剤。湿疹によるかゆみを抑えて、重度のアトピー性皮膚炎に対して劇的な効果が出ることもあり、注目されています。特に薬を塗っても塗っても、掻いてしまって一向に良くならない、という患者様には効果が期待できます。当院で対応ができる薬剤と難しい薬剤があるため、重症のアトピー性皮膚炎の方で、生物学的製剤などをご希望される場合には、お気軽にお問い合わせください。当院で現在、投与可能な生物学的製剤は「ミチーガ®」というお薬です。詳しい情報は下記製薬会社のリンクに記載されておりますので、ご興味のあるかたは、見てみてください!
ミチーガを使用される方へ|アトピーのみかた|製薬会社のマルホ
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