今回は百日咳の診断と治療について解説いたします。
診断のポイント
百日咳はまず激しい咳症状や周囲の流行などから感染を疑い、検査についてけんとうします。診断のための検査にはいくつか種類がありますが、どれも一長一短があります。
⏱️ 迅速抗原検査
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- 🔍 結果:5〜10分で判定可能で、その場で検査の判定が可能です。
- 感度30〜50%と低めのため、陰性でも百日咳を否定できないことが多いです。陽性であれば、診断はほぼ確定となります。
- 💉 抗体(血液)検査
- 🕒 抗体が上がるまで時間がかかるため、感染から時間がたたないと判定ができず、初期診断には向きません。抗体検査が陽性になるころには、抗生剤治療も効果が乏しいことが多いので、当院ではほとんど行っておりません。
- 🍮 細菌培養検査
- 百日咳菌を特殊な培地で培養して判定します。 結果が出るまで7日以上かかる上に、成功率も7割程度とそこまで高くないため、こちらも当院では実施しておりません。
- 🧬 PCR検査
- 菌に含まれる遺伝子を増幅して判定する検査で、特異度高く、感染初期から検出可能なため、早期診断には最も適しています。
- 当院では実施から判定まで2〜3日かかりますが、最も信頼できる検査のため、主にこちらの検査を行っています。
- 百日咳を含めた複数の菌やウイルスのPCR検査をまとめてその場で行うことのできる[spitfire®]という検査機器があります。青葉台の小児科では「はやし小児科医院」様にて実施が可能ですが、当院では設置しておりません。
💊 治療のポイント
- 🌟 抗生剤治療が第一選択
- できるだけ早期(感染後1〜2週目)に、抗生剤治療を開始することで咳症状の回復が早まるとされています。また、早めに始めることで、重症化や家庭内感染を防止することも期待できます。ただし、もっとも咳が激しくなる痙咳期に抗生剤治療を開始しても、あまり効果は期待できないとされており、早期の治療が大切です。抗生剤としては小児にも使用可能なマクロライド系抗生物質が第一選択となります。
- 🛑 耐性化の問題
- 中国や欧米をはじめ、日本国内でもマクロライド耐性株(MRBP)が増加中…治療開始後の効果が乏しい場合などはほかの抗生剤に切り替えることを検討します。
🍃 対症ケアのポイント
最も咳が激しくなる痙咳期は、百日咳菌の毒素で気道が過敏になることで咳が出ます。わかりやすく言うと、「めちゃくちゃ咳が出やすくなっている状態」です。この時期の咳には残念ながら、一般的な咳止め薬はほとんど効きません💦また、強力な咳止め薬である、コデインというお薬は15歳未満の小児には投与できない薬となっています。
そこで大切なのは「環境整備」と「刺激を避ける」こと👇
- 😷 マスク着用
- 飛沫やホコリをブロックして、咳発作を少しでも和らげよう!
- 💧 室内加湿
- 湿度50~60%で気道の乾燥を防止
- 🥤 こまめな水分補給&栄養管理
- 少量ずつ何度も飲んで、体力をサポート
それでも咳が止まらない方には、吸入ステロイドなどで気道の炎症を少しでも抑える治療を行うこともありますが、効果は限定的です。大変残念ですが、一度かかってしまった後は、「治るまでひたすら喉を守る」が最大の治療となります。
🚑 まとめ
- 💨 百日咳の診断にはいくつか方法があるが、その日のうちに診断可能な検査は限られている。臨床症状と流行状況から疑うことが大切。
- 💉 早期の抗生剤治療で重症化&二次感染を防止
- 🍀 マスク・加湿などのケアも忘れずに
周囲で百日咳が流行中…😰
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