風邪

百日咳について② 診断と治療のポイント

local_offer上気道炎夏場の感染症風邪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は百日咳の診断と治療について解説いたします。

診断のポイント

百日咳はまず激しい咳症状や周囲の流行などから感染を疑い、検査についてけんとうします。診断のための検査にはいくつか種類がありますが、どれも一長一短があります。

⏱️ 迅速抗原検査

    • 🔍 結果:5〜10分で判定可能で、その場で検査の判定が可能です。
    •  感度30〜50%と低めのため、陰性でも百日咳を否定できないことが多いです。陽性であれば、診断はほぼ確定となります。
  1. 💉 抗体(血液)検査
    • 🕒 抗体が上がるまで時間がかかるため、感染から時間がたたないと判定ができず、初期診断には向きません。抗体検査が陽性になるころには、抗生剤治療も効果が乏しいことが多いので、当院ではほとんど行っておりません。
  2. 🍮 細菌培養検査
    • 百日咳菌を特殊な培地で培養して判定します。 結果が出るまで7日以上かかる上に、成功率も7割程度とそこまで高くないため、こちらも当院では実施しておりません。
  3. 🧬 PCR検査
    • 菌に含まれる遺伝子を増幅して判定する検査で、特異度高く、感染初期から検出可能なため、早期診断には最も適しています。
    •  当院では実施から判定まで2〜3日かかりますが、最も信頼できる検査のため、主にこちらの検査を行っています。
    • 百日咳を含めた複数の菌やウイルスのPCR検査をまとめてその場で行うことのできる[spitfire®]という検査機器があります。青葉台の小児科では「はやし小児科医院」様にて実施が可能ですが、当院では設置しておりません。
    •  

💊 治療のポイント

  1. 🌟 抗生剤治療が第一選択
    • できるだけ早期(感染後1〜2週目)に、抗生剤治療を開始することで咳症状の回復が早まるとされています。また、早めに始めることで、重症化や家庭内感染を防止することも期待できます。ただし、もっとも咳が激しくなる痙咳期に抗生剤治療を開始しても、あまり効果は期待できないとされており、早期の治療が大切です。抗生剤としては小児にも使用可能なマクロライド系抗生物質が第一選択となります。
  2. 🛑 耐性化の問題
    • 中国や欧米をはじめ、日本国内でもマクロライド耐性株(MRBP)が増加中…治療開始後の効果が乏しい場合などはほかの抗生剤に切り替えることを検討します。

 

🍃 対症ケアのポイント

最も咳が激しくなる痙咳期は、百日咳菌の毒素で気道が過敏になることで咳が出ます。わかりやすく言うと、「めちゃくちゃ咳が出やすくなっている状態」です。この時期の咳には残念ながら、一般的な咳止め薬はほとんど効きません💦また、強力な咳止め薬である、コデインというお薬は15歳未満の小児には投与できない薬となっています。
そこで大切なのは「環境整備」と「刺激を避ける」こと
👇

  • 😷 マスク着用
    • 飛沫やホコリをブロックして、咳発作を少しでも和らげよう!
  • 💧 室内加湿
    • 湿度50~60%で気道の乾燥を防止
  • 🥤 こまめな水分補給&栄養管理
    • 少量ずつ何度も飲んで、体力をサポート

 

それでも咳が止まらない方には、吸入ステロイドなどで気道の炎症を少しでも抑える治療を行うこともありますが、効果は限定的です。大変残念ですが、一度かかってしまった後は、「治るまでひたすら喉を守る」が最大の治療となります。

 

🚑 まとめ

  • 💨 百日咳の診断にはいくつか方法があるが、その日のうちに診断可能な検査は限られている。臨床症状と流行状況から疑うことが大切。
  • 💉 早期の抗生剤治療で重症化&二次感染を防止
  • 🍀 マスク・加湿などのケアも忘れずに

周囲で百日咳が流行中…😰
気になる咳や「もしかして?」と思ったら、いつでもご相談ください。

 

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百日咳について①  症状と感染予防

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みしま小児科クリニック青葉台の三島です。本日は最近話題の百日咳について解説します。まずは感染と予防のポイントからです。

★百日咳って何?

百日咳(pertussis)は、**Bordetella pertussis(百日咳菌)**という細菌が引き起こす呼吸器感染症です。特徴的なのは、長く続く「けいれん様咳嗽」。

「コンコン…ケホッ、ケホッ、ケホッ」
咳があまりに激しく続くと、息ができず顔が赤くなることも。特にワクチン未接種のうちに感染してしまった乳幼児では無呼吸発作や嘔吐を伴い、重症化すれば入院治療が必要になることもあります。

一度発症すると咳は1か月以上続くことが珍しくなく、通常処方される咳止め薬ではほとんど効果が期待できません。だからこそ、早期発見と予防が大切なんです!


★主な症状の経過

  1. 潜伏期(1~2週間)

    • ほとんど無症状か、軽い風邪のような鼻水・くしゃみ程度

  2. カタル期(初期1~2週間)

    • 鼻水、くしゃみ、微熱、軽い咳

    • 普通のかぜと区別しづらい時期

  3. 痙咳期(中期2~6週間)

    • 「ひきつけるような」連続咳発作

    • 「ワッ!」「ヒュー!」といった吸気性笛音(whoop)

    • 咳で嘔吐したり、無呼吸発作を起こすことも

    • ワクチン未接種の乳幼児は特に重症化リスクが高く、命に関わることもあります

  4. 回復期(後期2~3週間)

    • 咳は徐々に減り、通常の風邪症状に戻る


★感染経路と予防

👀 感染しやすいのは、まだ症状が軽いカタル期。この時期は咳が目立たないため「風邪かな?」で済ませてしまいがちですが、すでに強い感染力があります。

  • 飛沫感染:咳やくしゃみの飛沫を吸い込む

  • 接触感染:手指やおもちゃを介して口に菌が入る

ポイント

  • 潜伏期間は7~21日と長く、気づかないうちに周囲へ広がりやすい

  • 咳が激しくなる痙咳期にはすでに感染力が低下しているので、軽い症状のうちから対策を!

日常の感染対策

  • 咳エチケット(マスク、ハンカチ)

  • こまめな手洗い・アルコール消毒

  • 室内の十分な換気


★ワクチンでしっかり予防

1. 定期予防接種

  • 乳幼児期(生後3・4・5~6ヶ月、1歳6ヶ月):計4回

    • このシリーズで4~5歳までの感染リスクを大きく下げます

    • ただし、4回目まででも小学校入学前後には効果が弱まり始めます

  • 学童期(5~6歳):三種混合ワクチン(百日咳成分含む)追加接種

    • 任意接種のため、当院では1回約5,000円の自費負担となります

  • 思春期(11~12歳):Tdapブースター

2. 妊産婦ワクチン

  • 妊娠28~32週でのTdap接種を推奨

  • 出生前から赤ちゃんを守り、家族内感染を予防します


まとめ

  1. 百日咳は長く続く激しい咳がポイント。咳止め薬ではほとんど抑えられません。

  2. 感染力が高いのは軽い風邪症状のカタル期。早めのマスク・手洗い・換気を!早期の抗生剤治療による症状の改善を早めたり重症化を防ぐことができます。

  3. 家庭内感染を防ぐことは難しく、予防にはワクチン接種が最も効果的。乳幼児期・学童期・思春期、そして妊産婦さんも忘れずに。

何か気になる咳が続くときは、早めにご相談くださいね🏥✨

 

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