こんにちは。みしま小児科クリニックの小林孝輔です。
冬になると流行しやすい感染症の一つが「インフルエンザ」です。前回のブログでインフルエンザの基本的な情報についてお伝えしましたが、今回はインフルエンザの治療薬について詳しく解説していきます。
はじめに
インフルエンザは毎年冬になると流行しやすく、小さなお子さまをもつご家庭にとっては、とても心配な感染症の一つです。発熱や咳、喉の痛み、全身のだるさなどの症状が現れるインフルエンザですが、早期に治療を始めることで、重症化を防ぎ、回復を早めることが期待できます。本記事では、現在日本で使われている主なインフルエンザ治療薬について詳しくご紹介します。
インフルエンザ治療薬の役割
インフルエンザ治療薬は、ウイルスの増殖を抑えることで、発熱期間を短縮したり、重症化を予防したりする役割を果たします。ただし、全てのインフルエンザ患者に薬が必要なわけではありません。特に、基礎疾患のない健康なお子さまでは、自然治癒する場合も多いですが、重症化リスクの高い方や、症状が強い場合には治療薬が処方されます。
現在使用されている主なインフルエンザ治療薬
1. オセルタミビル(商品名:タミフル®)
特徴:
- 飲み薬(カプセル・ドライシロップ)で、幅広い年齢層に使用可能
- 発症から48時間以内に服用を開始することで効果を発揮
- 5日間の服用が基本
注意点:
- 下痢や吐き気などの副作用がみられることがあります
2. ザナミビル(商品名:リレンザ®)
特徴:
- 吸入薬(専用の吸入器を使う粉末タイプ)
- 5歳以上が対象
- 発症から48時間以内の開始が重要
- 5日間吸入を継続する
注意点:
- 吸入が難しい年齢や、呼吸器疾患のあるお子さまには難しい場合があります
- 口の中や喉の刺激感、咳などの副作用が報告されています
3. ラニナミビル(商品名:イナビル®)
特徴:
- 1回の吸入で治療が完了する薬
- 10歳以上の方に推奨(体重や症状によって医師が判断、10歳未満でも使用する場合あり)
- 発症から48時間以内の使用が必要
注意点:
- 吸入が苦手なお子さまの場合、正しく吸えないことがあります
- 吸入後に気道の刺激感が出る場合があります
4. バロキサビル(商品名:ゾフルーザ®)
特徴:
- 1回の内服で治療が終了
- 12歳以上、または体重に応じて適応となる場合があります
- ウイルスの増殖を新しい仕組みで抑える薬
注意点:
- 耐性ウイルスの発生が指摘されており、慎重に適応を判断します
- 下痢や吐き気などの副作用が報告されています
5. ペラミビル(商品名:ラピアクタ®)
特徴:
- 点滴で投与される薬で、内服や吸入が難しい場合に使用されます
- 重症例や入院が必要な場合に主に用いられます
注意点:
- 医療機関でのみ投与されるため、自宅療養中には使われません
治療薬の選択について
お子さまの年齢や体重、インフルエンザの重症度、既往歴、服薬や吸入の得意不得意などによって、最適な治療薬は異なります。これらを総合的に判断し、最も適した薬剤を処方します。ご不安な点は遠慮なく当院までご相談ください。
インフルエンザ治療薬を使う際の注意点
- 治療薬の効果を最大限に引き出すには、できるだけ早く(発症から48時間以内)に服用や吸入を開始することが大切です。
- 薬の使用中は、規定の回数や量を守ることが重要です。
- 副作用や体調の変化があった場合は、すぐに受診しましょう。
- インフルエンザの流行期は、薬だけでなく、手洗いやうがい、マスクの着用、十分な休養と水分補給も欠かせません。
まとめ
インフルエンザは、適切な治療薬と早期対応により多くの場合、重症化を防ぎ元気に回復できます。お子さまの体調や特性に合わせて最適な治療を受けるためにも、気になる症状があれば早めにご相談ください。小児科クリニックとして、ご家族のみなさまが安心してインフルエンザシーズンを乗り越えられるよう、最新の情報と丁寧なサポートを心がけてまいります。
何か心配なことがあれば、いつでもみしま小児科クリニック青葉台までご相談ください。
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